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第36回(2016年)猿橋賞

第36回 猿橋賞受賞者 佐藤たまき氏の研究業績要旨

受賞研究題目「記載と系統・分類学を中心とする中生代爬虫類の研究」

”Description and Systematics of the Mesozoic Reptiles”
 

 生物は、約40億年前に誕生し、単細胞生物の時代を経て約5億年前に多細胞生物となった。脊椎動物の進化では2.5億年前に始まる中生代に爬虫類や哺乳類が出現し、多様な生息環境に進出した。生物史上での大型爬虫類の出現は興味深い。中生代には、形態や食性で驚くべき多様化を遂げた恐竜、脊椎動物として初めて自力で飛行した翼竜、ネッシーのモデルとして有名になった首の長い独特な体型を持つ首長竜など、実に様々な大型爬虫類が登場した。

 佐藤たまき氏は、学生の頃から首長竜を含む鰭(き)竜類(りゅうるい)の記載(生物分類の根拠となる形態学的な特徴などを詳細に説明すること)と分類・系統学研究を中心に据え、時代的・地理的な分布や生態学的な情報を引き出すことに成功し、化石大型爬虫類の生活環境全体を捉えようとしている。米国・カナダでの留学経験を生かして多くの外国人研究者との交流を深めるとともに、研究対象となる標本・地域も広げて大きな成果を挙げ、国際学術誌に積極的に研究成果を発表し続けている。次にその幾つかを紹介する。

 佐藤たまき氏は卒業研究と修論研究で扱った北海道の上部白亜系から産出した首長竜化石の胃の内容物にアンモナイト類の残物を見出し、首の短い首長竜がアンモナイト類を捕食した証拠を初めて示したほか、その首長竜が東アジアで初の発見となるポリコティルス類であることを明らかにした。また、博士論文の研究ではカナダ中西部の上部白亜系から産出した首長竜の新属新種Terminonatator pontiexensisと新種Dolichorhynchops herschelensisを含む数多くの首長竜化石を記載し,エラスモサウルス類の系統解析を行った。

 Ph.D 取得後の注目すべき研究としては、フタバスズキリュウの記載が挙げられる。フタバスズキリュウは1968年に高校生だった鈴木直氏が福島県いわき市(現)の双葉層群で見出した化石につけられたニックネームであり、国立科学博物館に全身骨格が展示され、映画「ドラえもん・のび太の恐竜」のピー助としてもおなじみの動物であったが、分類学的な位置づけは長らく不明であった。佐藤氏の研究の結果、フタバスズキリュウはFutabasaurus suzukiiという新属新種であることが明らかになり、社会的にも注目されマスコミでも話題となった。

 この他の研究成果としては、河川や湖などに生息していた珍しい首長竜の分類学的位置づけを明らかにしたこと、新属新種のプリオサウルス類首長Borealonectes russelliをカナダ北極圏のジュラ系から記載してこの系統の首長竜の化石記録の地理的・時間的な分布に一石を投じたことなどが挙げられる。また、ここ数年は中国の三畳系から産出した複数の鰭竜類の記載を通じて首長竜の他に例を見ないボディプランが生じた過程の解明を目指している。

 佐藤たまき氏の研究対象は鰭竜類以外の爬虫類にも広がりつつある。例えば2005年には,鳥類に系統的に近縁な恐竜であるオビラプトロサウルス類の卵を含む中国上部白亜系産の化石に基づき、この恐竜の産卵様式が現生ワニ類と鳥類の特徴を併せ持ったものであることを示した。最近も活発に国内外の首長竜を含む鰭竜類を中心に化石爬虫類に関する研究を進めており、積極的に論文を発表している。

 以上の業績に対して、文部科学大臣表彰科学技術賞をはじめ幾つかの賞を得ている。また、留学経験を生かし、従来日本では活発でなかった中生代海生爬虫類の研究を大きく発展させ、国際研究者交流や国際共同研究も積極的に推進している。

東京都出身

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